特集[WELL-BEING TECHNOLOGY]注目出展者(前編)|(株)AIST Solutions

特集[WELL-BEING TECHNOLOGY]注目出展者(前編)|(株)AIST Solutions

本特集について

こんにちは、HAL編集部です。
この度私たちHALは、株式会社JTBコミュニケーションデザイン様と株式会社加工技術研究会様が主催する展示会「WELL-BEING TECHNOLOGY -マテリアルと情報技術で拓く豊かな社会-」のメディアパートナーとして、ウェルビーイング特集記事に取り組んでいます。

2023年12月からいよいよ来場者登録が始まりました。開催まで間近に迫ったところで、開催直前特集として前編・後編にわたってHALが選ぶ注目出展企業様の紹介記事をお届けいたします。来場前の事前チェックと合わせて、企業間の更なるビジネスの加速にお役立てできればと思い、出展者様にご協力いただきながら本企画に取り組んでおります。
前編では株式会社AIST Solutions/国立研究開発法人産業技術総合研究所様をご紹介いたします。様々な研究をご出展される中から、今回はHALが注目する2つの研究についてインタビューを行いました。

その他にも毎月ゲストをお迎えしたトークセッション動画の1月分が更新されます。7月から配信されている動画も次回で最後となりますので、そちらも合わせて是非チェックしてください。

展示会「WELL-BEING TECHNOLOGY」概要

近年、ウェルビーイング社会への関心の高まりとともに、身近な暮らしの中でひとに寄り添う新しい製品・サービスが注目を集めています。さわり心地のよい素材や快適な空間デザインとその評価技術、工場やオフィス・ 公共空間で活用が期待される協働ロボット、人間拡張技術、またXR技術で実現する新しい働き方など、ひとの健康や心地よさ、幸福度につながる視点での製品・サービス開発に取組む企業が増えています。当展示会ではこの分野に光をあて、「ウェルビーイング」と「産業」を結びつける場と して、2024 年に新規展示会「WELL-BEING TECHNOLOGY(略称:ウェルテック)」として初開催します。

【開催日時】
2024年1月31日(水)~ 2月2日(金)10:00-17:00

【会場】
東京ビッグサイト 東ホール

株式会社AIST Solutions/国立研究開発法人産業技術総合研究所 出展概要

AIST Solutionsは、産業界との連携により産総研の研究成果を事業化し、社会問題を解決することを目的としています。現在ウェルビーイングを含む6つの領域で事業化検討が進められています。本出展では優先検討中の日常生活行動モニタリングによる軽度認知症スクリーニング事業と人間計測事業構想について紹介するとともに、産総研で開発が進められているウェルビーイングに関わる最新技術を紹介します。(出展概要はこちら

小間番号   : 5D-17
共同出展者  : 産業技術総合研究所

株式会社AIST Solutions
国立研究開発法人産業技術総合研究所

出展製品・サービス

  • 軽度認知症スクリーニング事業
  • 人間計測事業
  • 「はたらく」を支える技術とインターバースの研究開発
  • 遠隔ヘルスケアのための多感覚XR-AI技術基盤
  • 日常生活中の活動・感情状態を計測し,Well-beingに活用するためHOLMES・EMOSy
  • 眼球運動計測システム
  • プライバシーに配慮して笑顔を計測するスマートミラー
  • 脳卒中リハビリテーションの”その場”で脳活動を可視化するウェアラブル機能的近赤外分光計測装置
  • 運動機能障害者支援のためのジェスチャインタフェース(AAGI)
  • 屋内外シームレスな移動を支援する自律移動パーソナルモビリティ技術

HALの注目テクノロジー

魅力的な出展物の中から、今回は「”はたらく”を支える技術とインターバースの研究開発」と「遠隔ヘルスケアのための多感覚XR-AI技術基盤」の2つに注目しました。展示会概要では語られていない、要素技術や研究開発に込める思いなどを中心に、産総研人間拡張研究センターに所属されている蔵田武志さんと大隈隆史さんにそれぞれの研究についてお話をお伺いしました。
蔵田さんは後者の多感覚XR-AI技術基盤について、大隈さんにはインターバースの研究開発について伺っておりますので、本記事では出展概要の掲載順に沿って掲載いたします。

「はたらく」を支える技術とインターバースの研究開発

産業技術総合研究所 人間拡張研究センター
スマートワークIoH研究チーム 研究チーム長 大隈 隆史 氏

要素技術とアピールポイント

本展示では、社会において「はたらく」という活動をサポートするための技術とその応用に焦点を当て、その魅力をご紹介いただきます。特に、展示ブースでは二つの技術を実際に体験できます。

まず、接客サービスにおいてスキルをトレーニングするために開発されたVRシステムがあります。このシステムでは、接客の手順を学習するとともに、お客様の変化に「気づく」スキル、また店内の状況から的確に「優先順位を判断する」スキルを養うことができます。
従来のトレーニングとして対物業務がありましたが、今回対人業務を対象とすることで、On the jobトレーニングの課題であるピークタイム時の新人教育の停滞の軽減や、目配りなどの確認しにくい行動をデータとして記録することで細やかな評価とアドバイスが可能になります。労働集約型のサービス現場にとって画期的なトレーニングシステムになると期待が高まります。

そして、もう一つの技術は、バーチャルな世界とリアルな世界を融合させ、仕事の場でのコミュニケーションを拡張することを目指したインターバースオフィスのプロトタイプです。インターバースとは、メタバースとユニバースを掛け合わせた空間のことを指します。コロナ禍によりリモートワークが普及した反面、リアルで偶発的に起こるコミュニケーションの消滅や他社員と同じ空間で過ごすことが減ったことなどによる組織帰属意識の低下が徐々に問題として浮上しています。このプロトタイプを通じて、バーチャルとリアルが一体化した環境で協力して働けることで、在宅勤務やサテライトオフィス勤務などの働き方をより自由に選択できる世界をイメージいただけるのではないでしょうか。
展示の体験を通じて、well-beingな未来の働き方や社会をご一緒に考えていただければと思います。

研究・開発に込めた思いや動機

(以下大隈さんからのコメント全文)

「はたらきたい」という願いを抱くすべての人が、制約に縛られることなく自由に活動できるようにすることで、より大きな価値を生み出すことを目指しています。私たちは、Well-beingな働き方を支えるための技術を実現するため、多くの協力企業と共に研究開発を進めています。
未来の働き方において、個々の人が充実感を感じ、健康的で満足度の高い仕事をすることができるようにすることは、私たちの大きな使命です。皆様の協力と共に、Well-beingなはたらき方を実現し、社会全体にポジティブな影響を与えることができると信じています。

想定している利用業界や応用プロダクト

HALでは会期中に企業間マッチングを促進し、より早いテクノロジーの社会実装を加速させたい思いがあるため、想定しているユースケースや応用プロダクトのヒントをお伺いしております。
本研究について想定しているケースをお伺いしました。(以下コメント全文)

VRトレーニングシステムは、飲食サービスに限らず、顧客接点を持つ多くのサービス業に適用可能であると考えています。この技術で接客やサービス提供における基本的なスキルを向上させておくことで、リアルな環境での実践的な経験を効果的に積むことができるとも考えています。これにより、サービス業全体で効果的かつ効率的なトレーニングが可能となります。
同様に、インターバース技術は、様々な役割を持つ従業員が連携し、コミュニケーションを取りながら働くあらゆる労働現場に適用可能です。例えば、オフィス環境や製造業、小売業など、異なる産業分野においても、バーチャルとリアルが融合することで、さまざまなはたらき方を選択する従業員同士の円滑なコミュニケーションが可能になります。これにより、チーム意識やエンゲージメントの向上を通した労働現場全体の生産性向上にも寄与できると考えています。

遠隔ヘルスケアのための多感覚XR-AI技術基盤

産業技術総合研究所 人間拡張研究センター
副研究センター長 蔵田 武志 氏

要素技術とアピールポイント

リハビリと特定保健指導を対象とした場合、それらのサービスプロセスは、初診、リハビリ・運動トレーニングの実施、常時モニタリング(見守り)、再診の4つに整理されます。この各プロセスの遠隔化を実現するための「多感覚XR-AI(エックスレイ)技術基盤モジュール群」を構築・適用して、後述の時空間的、経済的、並びに認知的制約を緩和することを本研究の主要な目的としています。例えば、高感度・低ヒステリシスな歪みセンサ群などを組み込んだMR3 (Multi-Modal Mixed Reality for Remote Rehab)ウェアによる精緻な運動計測、運動パフォーマンスに関する錯覚を起こさせるVRリハビリによる自己効力感増強、療法士などのサービス提供者不在の状況でのメタバース互恵ケア(複数利用者間での動機付け支援)、常時モニタリングの実用化に向けた脈拍、脈拍変動(PRV)、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の計測モジュールの省電力化、さらにAIによる心的状態推定などに取り組んでいます。

ひとくちに「リハビリ」と聞くと、病気や怪我から日常生活を送るために支障がないように行うものという印象が先に来がちですが、仕事をする上で感じる不調や不具合を解消することもリハビリと言えます。例えば「肩の痛みがなければもう少しこの仕事を頑張れる」といった病気とも怪我とも言いにくい症状の解消にも役立ちます。自身の状態を知り、この技術を利用したリハビリを行うことで、まさにウェルビーイングなはたらき方ができることが期待されます。

【参考資料】
NEDOプロのシンポジウム
過去の展示パネル

研究・開発に込めた思いや動機

(以下蔵田さんからのコメント全文)

多くのヘルスケアサービスでは、時間や移動手段の不足、保険制度の制限などに伴う自己負担、利用者と提供者の数の不整合、サービスの質の格差、動機付けの不足(続けられない)など、時空間的、経済的、もしくは認知的制約に起因する諸問題が顕在化しています。労働人口を維持するという意味でも各問題の解決が求められます。五十肩だけでも年間約百万円/人の経済損失があるという報告もなされています。我々は、サービスの遠隔化により、時空間的、経済的制約の緩和もしくは解消を狙っています。ただ、物理的インタラクションの再現、サービス利用者の日頃の心身状態の把握などの新しい課題が発生します。また、動機付け問題は、そもそも遠隔化で直接解決するものではありません。キラキラした研究内容ではありせんが、このような社会的課題にタックルし、生活の下支えや底上げに少しでも貢献できればという動機で研究活動を進めています。

想定している利用業界や応用プロダクト

同様に蔵田さんにも想定ケースをお伺いしました。(以下コメント全文)

まずは、上肢(肩から手まで)を主だった対象部位としたリハビリサービス、メタボを対象とした特定保健指導サービスの各事業を対象として研究開発を進めています。加えて、健康維持・向上のためのトレーニングサービス、健康経営(生産性とQoWを両立させた経営)・人的資本経営支援サービスなどへの展開も想定しています。健康とゲームを結び付けたサービスも今後ますますマーケットが大きくなっていくことが期待されます。

まとめ

「”はたらく”を支える技術とインターバースの研究開発」は、今までなかったVRによる対人トレーニングを行うことで、労働集約型モデルによくあるベテランによるOne on Oneの新人教育やピーク時の応対などの課題を解消できるようになります。接客の手順を学習するとともに、お客様の変化に「気づく」スキル、また店内の状況から的確に「優先順位を判断する」スキルを養うことで、スキルの平準化を図ることも期待できるでしょう。
またインターバースの研究は、リモートワーク普及による偶発的なコミュニケーションや組織帰属意識の減少を解消する手立てとして、VRを活用した注目すべき技術と言えます。

「遠隔ヘルスケアのための多感覚XR-AI技術基盤」は、この研究が社会実装されると地理的な制約を克服し、被験者はどこにいてもリアルで効果的なリハビリが可能となります。多感覚XR-AI技術によってモチベーション向上や治療成果の促進が期待され、省電力かつ効率的なデータ収集により被験者の健康情報を長期的にモニタリングできます。VRリハビリによる自己効力感の向上やサービス提供者不在時の柔軟なケアは、治療への積極的な取り組みや医療アクセスの向上に寄与します。
まだ要素研究の段階なので事業化までは長い道のりになるそうですが、将来的にこの技術の導入によって、ヘルスケアサービスがより柔軟で効果的に提供されることで様々な人の生活の質が向上することが期待されます。

ウェルビーイングと聞くと一般的にはQoLに視点が行きがちですが、産総研の方々はQoLだけでなくQoW(健康、働きやすさ、働きがい)も目的にされています。お話を伺った際にも、より多くの人にはたらくことの楽しさを知って欲しいと仰っていました。そのためにどんな人であっても働けるような技術を研究し働くことを支援することに、私たちもとても共感し感銘を受けました。「生産性+QoW」がこれからの社会を作っていくウェルビーイングにとって重要な要素だと感じています。
会期中はデモや映像をご覧いただけますので、ぜひ本ブースまで足を運んでみてはいかがでしょうか。

なお、本記事に掲載している文章および参考資料を第三者へ再配布することや無断転載・改変などは固くお断りいたします。研究内容に関しましては、直接各社ご担当者までお問い合わせください。

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