[WELL-BEING TECHNOLOGY] 第4回トークセッション動画の見どころ特集

[WELL-BEING TECHNOLOGY] 第4回トークセッション動画の見どころ特集

本特集について

こんにちは、HAL編集部です。
この度私たちHALは、株式会社JTBコミュニケーションデザイン様と株式会社加工技術研究会様が主催する展示会「WELL-BEING TECHNOLOGY -マテリアルと情報技術で拓く豊かな社会-」のメディアパートナーとして、ウェルビーイング特集を毎月更新します。今回は10月配信の動画について見どころをご紹介いたします。
今後も配信される動画の見どころや、展示会の見どころを発信してまいりますので、是非チェックしてください。

展示会「WELL-BEING TECHNOLOGY」概要

近年、ウェルビーイング社会への関心の高まりとともに、身近な暮らしの中でひとに寄り添う新しい製品・サービスが注目を集めています。さわり心地のよい素材や快適な空間デザインとその評価技術、工場やオフィス・ 公共空間で活用が期待される協働ロボット、人間拡張技術、またXR技術で実現する新しい働き方など、ひとの健康や心地よさ、幸福度につながる視点での製品・サービス開発に取組む企業が増えています。当展示会ではこの分野に光をあて、「ウェルビーイング」と「産業」を結びつける場と して、2024 年に新規展示会「WELL-BEING TECHNOLOGY(略称:ウェルテック)」として初開催します。

【開催日時】
2024年1月31日(水)~ 2月2日(金)10:00-17:00

【会場】
東京ビッグサイト 東ホール

第4回トークセッション動画「感覚の共有により相互理解を叶える人間拡張技術」

トーク登壇者

ナビゲーター
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
人間情報研究部 感覚共鳴グループ
上席特別研究員
渡邊 淳司 氏

【専⾨領域】
ソーシャルウェルビーイング論
個人それぞれのウェルビーイングとチーム全体のウェルビーイングをどのように捉え、充足していくのかを探求する領域。

ポジティブコンピューティング
人の心理的ウェルビーイングと人間の潜在力を高めるテクノロジーの設計・開発を探求する心理学とHCIの融合領域。

触覚情報学
触れる感覚の特性に基づき、人と人をつなげる触覚コミュニケーションの原理の探求やそのためのテクノロジーを研究する領域。

スポーツの身体的翻訳
スポーツの動きの本質を別の動きに変換(“翻訳”)し、手軽にスポーツを体験したり、目の見えない人と一緒にスポーツ観戦を楽しむ方法論。

渡邊淳司 研究サイトより引用

ゲスト

NTTドコモ 6Gネットワークイノベーション部
兼 慶應義塾大学 大学院
メディアデザイン研究科 特任教授

石川 博規 氏

研究分野

  • 人間拡張
  • メカトロニクス
  • Well-being
  • コミュニケーション

あなたと常識を変えていく。人間拡張基盤™|ドコモブランド総合サイト docomo Brand Site|NTTドコモ
触覚共有技術「フィールテック」とは|NTTドコモ

見どころ

第4回のテーマは「感覚の共有により相互理解を叶える人間拡張技術」。
今回は6G時代の新しいサービスの実現に向けて、人間拡張プラットフォームの開発に携わっている株式会社NTTドコモ(以下NTTドコモ)の石川氏をお招きしました。NTTドコモは昨年11月に、5Gと6Gの通信に関するホワイトペーパーを発行しました。同社は6G時代の新たな提供価値の一つとして、ネットワーク利用した『人間拡張プラットフォーム』の開発を進めています。世の中への価値提供はスマートからウェルビーイングへとホワイトペーパーの中で提唱されている通り、人間拡張とウェルビーイングは互いにこの先に必要不可欠な関係性があると言っても過言ではないでしょう。
自分や他者が考えていること、感じていることが同じ感覚では共有できないということを起点に、研究者としての技術開発の側面とプラットフォームを浸透させるというビジネスサイドの双方から、ウェルビーイングへのアプローチが語られています。また石川氏は動画や資料などを交えて説明されているので、NTTドコモの取り組みについて知りたい方は本動画をぜひご覧ください。本記事では、その中から一部抜粋してご紹介いたします。(記事化に当たり一部表現を変えている箇所がございます)

「伝える」から「伝わる」 ー コミュニケーションに必要な変化

渡邊:石川さんの自己紹介の中で、「伝える」から「伝わる」という言葉がとても印象的でした。人と人の関わりに携わっていらっしゃる石川さんの、個人的な動機をお伺いしてもよろしいですか。

石川:もともと私も研究者として活動していた時期があります。その時は自分が行っている研究が良いものであれば、相手にはその良さが伝わり、共感を得られることが当たり前だと思っていました。そしてその分野を専門としている人たちにとっては当然分かる研究内容なので、専門用語が飛び交えば基本的には理解しているような状態でした。しかし、その後開発に進むとそれが一気に変わってしまい、もう全ての前提が違っていました。同じ言葉を聞いても全く意味が違う。わかりやすく言うと、「AI」という言葉が「アクションアイテム」として認識されたり、あるいは「人工知能」として認識されたりするように、分野やバックグラウンドが全く違うことによって、発信した1つの言葉が全然違うものとして受け取られたまま会話をするので、ずれた漫才のような感じになっていきます。最終的にはなんとなく総論OKと皆空気を読んでいるのですが、その後に全く違うことがアウトプットとして出てくることがあったことが、私の中で大きな分岐点になっています。そこでやはり、正しく理解して相手に正しく伝わるように言う必要性を感じました。
次に行うことは、相手がわかるようなかたちで伝えたり、相手を理解したりすることを心がけるのですが、それにも限界があります。結局、親友などではないので十分に把握することはできず、相手を慮ることはするのですが、それだけではなかなか理解し合うことが難しいのではないかと思います。一度そこの線を超えなくてはいけない、変える必要があると思いました。さらにコミュニケーションは全てにおいて大前提となるので、最終的に様々な分野の共通的な底上げに繋がるのではと思って始めました。

渡邊:ありがとうございます。前提が違うという点がとても大事なことだと思います。また、先ほど自己紹介でお見せした「見えないスポーツ図鑑」でご紹介しているのですが、目の不自由な方とスポーツを観戦するという取り組みを始めた時に感じたことと、もしかしたら近い部分があるかもしれません。試合を観戦している際に、例えば目の前で点が入って「やった!」と私が言っても、当たり前ですが目の不自由な方は少し遅れて気がつくということがありました。一緒の場に居ても何かずれて試合に対して関わっているなと感じました。そのときに、手を繋いでみるとか、間を繋ぐ何かがあるだけで、お互いが違うけれども一緒に何かができるという関わり方が起こるのです。石川さんが携わっていらっしゃる人間拡張プラットフォームにも関係するものでしょうか。

石川:そうですね。私たちがやっている人間拡張プラットフォームは、それぞれの人の前提条件である体の状態や感覚などを、全部プラットフォームの中で保存しています。その状態で相手と共有するので、例えば目の不自由な方とのコミュニケーションであれば、自分たちは今までのように話していても、目の不自由な方に合わせたかたちでプラットフォームが変換するため、最終的に意思の疎通が進みやすくなるということに関連していると思います。

「人間拡張」とドコモが考える人間拡張プラットフォーム

渡邊:人間拡張という言葉に込められた思いをお聞かせいただけますか。

石川:人間拡張という分野は、東大の暦本先生が1つの定義を提唱されており、4つの次元に大きく分けられています。まず1つ目は身体能力の拡張です。足の不自由な方が片足を補完することや、力がない方が重たい物を持つことができるパワードスーツなどは思い浮かべやすいアウトプットのひとつだと思います。
2つ目は存在の拡張です。これはよくNTTやドコモが行っていることですが、ある離れたところを繋ぐことで、自身はその場所にいなくても遠隔作業ができるというものです。3つ目は知覚の拡張で、他者と自分が感覚的なことを共有するというものです。視覚や味覚、嗅覚など感覚の拡張という意味です。
そして、最終的に私たちがやりたいこととして、認知の拡張というものがあります。人間がものを熟練・スキルアップしていくためには、何らかの技術向上あるいはコツの習得をします。習得には個人差が大きいのですが、それも全てコミュニケーションといえます。例えば、ピアノ教室やゴルフ教室で技術を映像で見たり、実際に身振り手振りや言葉で伝えたりしていますが、それを人間は一度頭で理解し、それから体で動かすという2段階の作業を行なっています。一方子どもは見様見真似であまり考えずにやるため、意外に認知が早いと言われています。理解という意味では適切ではないのかもしれませんが、体で覚えるという意味でです。
そこで、私たちは人間拡張プラットフォームを使い、効率良く習得できればと考えています。身体能力の拡張はデバイス系が中心となるため、デバイスベンダーさんが得意だと思っています。存在の拡張は、繋ぐという部分では、ドコモやNTTグループ以外の通信を持つ企業も得意な領域だと思います。そのため私たちのグループとしての強みを活かせる、3つ目の知覚の拡張と4つ目の認知能力の拡張に主に取り組んでいます。

後半では人間拡張とウェルビーイングの関係性や、ビジネスサイドのお話が続きます。動画内では資料を使った説明もありますので、続きはぜひ動画でチェックしてみてください。

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