ちょっと怖い?6G時代にドコモが考える人間拡張基盤

ちょっと怖い?6G時代にドコモが考える人間拡張基盤

NTTドコモが提唱する6G時代の提供価値「人間拡張基盤」

2022年1月、株式会社NTTドコモ(以下NTTドコモ)は「ドコモ6Gホワイトペーパー」にて6G時代の新たな提供価値の1つである「人間拡張(HA)」を実現するためのプラットフォーム「人間拡張基盤」を、H2L社・FCNT社および富士通社の技術協力を得て世界初に開発したと発表しました。女優の綾瀬はるかさんが起用されたPR動画も記憶に新しいことでしょう。

、ドコモは通信業界最大手の歴史や蓄積したノウハウを元に「ひと・モノ・情報、すべてをつなぐネットワーク」を準備し、6Gのネットワークで繋げる人間拡張技術のプラットフォーム化を目指しています。
6Gの特徴的な技術の一つである超低遅延化の実現により、神経の反応速度をネットワークの通信速度が超えるため、脳や身体の情報をネットワークに接続することでネットワークで人間の感覚を拡張することが可能になると考えられています。
その中でNTTドコモでは、人間拡張が目指す「身体のユビキタス化*」「スキルの共有」「感情の伝達」「五感の共有」「テレパシー・テレキネシス**」の5つの内、「身体のユビキタス化」と「スキルの共有」の実現に向けて、他者間の動作の共有を可能にする人間拡張基盤を開発しました。

*コンピューターやネットワークが身体に溶け込んでいる状態のこと
**心の内容を言語、表情、身振りなどを介さずに直接相手の心へ伝達する能力(テレパシー)、意思の力だけで物体を動かす能力(テレキネシス)

ドコモが掲げる人間拡張基盤とは?

この人間拡張基盤には、動作を把握する機器で取得した動作データを動作を再現する駆動機器を通して人やロボットにリアルタイムの伝達時に、動作を共有する同士の大きさや骨格などの身体データを比較し、差分を考慮した動作補正を行うことができます。よって大きさや骨格が異なる人やロボット同士の無理のない自然な動作の共有や、大きい動作を元に微細な動作を再現することなどを実現することができるのです。例えば、大人の動作を子どもでそのまま再現することはできなくとも、その差異の補正によって動作を共有することができます。また、デバイスはモバイルネットワーク経由でこの基盤に接続できるため、様々な場所で人間の身体を拡張させることができるので、まさに制約からの解放が可能な基盤と言えるでしょう。

プラットフォーム化するメリット

さらに特筆すべきは、取得した動作データは基盤上に蓄積することができるため、過去や現在といった時間軸に縛られずに蓄積されたデータを用いて過去の人の動作を現在の人で再現することも可能に。熟練した技術が必要な分野における後継者不足や技術そのものの伝承など、社会が持つ課題解決へのソリューションとしても期待が持てるでしょう。
それを見据えて、将来的にベンダー向けのソフトウェア開発キッド(SDK)を提供して様々なアプリケーション開発ができるようデバイスの相互接続も可能にしています。SDKの利用によって、多様なスキルがプラットフォーム上に蓄積され、繋ぐことによってより多くの人が使えるようになる見込みです。

PR TIMESプレスリリースより引用

人間拡張は怖い?

人間拡張には、義手義足や補聴器のようにウェアラブルなものから脳にチップを埋め込むようなインプラントがあります。ウェアラブルのものは、前述の身近なものから昨今様々な分野で起用されているVRなど、利用する機会が増えているため受け入れやすいテクノロジーと言えるでしょう。
今回NTTドコモが公開している動画も、「身体のユビキタス化」「スキルの共有」からウェアラブルを起用した内容になっています。

こんな風にスキルを自分にダウンロードできたら、なんて夢や可能性が広がるテクノロジーなのでしょうか。開発パートナーであるH2L創業者である玉城絵美氏と、NTTドコモで6G-IOWN推進部に所属している石川博規氏は、動画内で現在開発中のテクノロジーと今後6G時代に展開していくテクノロジーについても言及しています。

嗅覚や触覚などの五感、そして感覚・感情の伝達は脳の領域ですので、来たる6G時代にはインプラントのテクノロジーが開発されるのではないかと期待しています。ただ、多くの人が脳にマイクロチップを埋め込むBMIなどのインプラントには未知への怖さを抱いていると思います。正確な電気信号のやりとりはもちろん、ネットワークの安定性や安全性、人道性についての議論も含めクリアすべき課題は多く、開発にもユーザーとなり得る人たちへの理解など、多くの費用や歳月がかかる大きなプロジェクトです。しかし身体に何らかの制約がある人にとっては、非常に希望がある未来のテクノロジーであり、近い将来必ず実現する領域です。
例えば2019年10月に米ピッツバーグ在住の半身不随の患者が、脳にインプラントした電極を通じて脳信号をコンピューターに送り、ゲームをプレイしている動画は衝撃と期待を与えました。

このように人間拡張はグローバルに各分野で日々開発が進められています。
人間拡張は人間が持つポテンシャルを高め、物理的制約から解放し、あらゆる可能性を広げる未来のテクノロジーです。近い将来にNTTドコモが目指す人間拡張基盤のあるの世界が、未知への恐怖を超えて発展することは、多くの人の助けと生きる希望に繋がるのではないでしょうか。

【情報参照】
6G時代の新たな提供価値「人間拡張」を実現する基盤を開発-ネットワークを介して他者同士でリアルタイムに無理のない自然な動作を共有することが可能に-<2022年1月17日>(NTTドコモ公式サイト)

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