ニューラリンクはどんな会社?
Neuralink(ニューラリンク)は、アメリカの実業家イーロン・マスク氏らが2016年に共同設立した脳に埋め込むブレイン・マシン・インタフェースを開発する会社です。2017年4月に同社は、当面の間はまず重い脳疾患を治療する機器の開発を行ない、最終的にはトランスヒューマニズムとも呼ばれる人間拡張を目指す計画を発表しました。エンジニアでもある彼らが言うには、「テレビゲームに似た何か、前回の状態から再開したり、それをアップロードできるセーブデータのようなもの」であり、「脳損傷や脊髄損傷に取り組み、人が失ったいかなる能力もチップひとつで補えるようにする」ということを考えているようです。
設立後の動き
ニューラリンクは設立以来、様々な大学から何人もの高名な神経科学者を雇用しています。2019年7月までに、1億5800万ドル(うち1億ドルはイーロン・マスク氏による)の出資を受けており、さらに90名の従業員を雇用。この時点で同社が発表したところでは、脳へ幅4 – 6μmの非常に細い糸を埋め込むことができる「ミシンのような」機器を開発しており、1500本もの電極を通じて実験用マウスから神経情報を読み出すシステムを実演しています。
ニューラリンクのプロダクト
残念ながら、これまで公式に発表されている公開情報は少ないのが現状です。
2020年8月にライブ配信された動画では、健康状態を監視するBMIデバイス「LINK」や自動手術ロボ「V2」などが発表されました。
【参考記事】
イーロン・マスク氏のNeuralinkが脳埋め込みデバイスを発表しました(BRAINTECH WORLD)
ここで発表された「LINK」は臨床実験の段階に進んできているとコメントしながらも、同年から延期されていました。2021年には脳にチップを埋め込んだ猿がゲームをする動画が公開されています。
そして、2022年1月には遂に人を対象とした臨床実験を計画していることが明らかになりました。
【参考記事】
イーロン・マスクの脳インプラント企業が「人間」を対象とする実験を計画中(Gigazine)
こちらの記事の末尾に「競合他社のSynchronが一足早くFDA(アメリカ食品医薬品局)の実現可能性検査を通過したと報告した」とあるので、両社共に着実にBMIの実装に向け臨床実験段階に入ると考えられます。認可以外にもクリアしなければならない課題は多いですが、医療で実装されれば難病や重度の障害を持つ人々の大きな希望になるのではないかと期待が膨らみます。
Neuralink Corporation
アメリカ合衆国カルフォルニア州サンフランシスコ